借用書

相続人が引き継ぐ財産は「プラスの財産」だけではなく「マイナスの財産(借金など)」も引き継ぐことになります。

じゃあ、相続財産全体でマイナスの財産の方が多い場合も相続しないといけないの?と考えてしまいす。

相続の種類には単純承認・限定承認・相続放棄があり、相続人が選択できることになっていますので、状況に合った相続の方法を選ぶ必要があります。

財産の種類

プラスの財産、マイナスの財産とはどのようなものを指すのでしょうか?

プラスの財産とは:不動産、預貯金、現金、株式、国債、貴金属品、美術品等

マイナスの財産とは:借金、債務、損害賠償金等

単純承認とは

単純承認とは亡くなった人の残した財産(プラスの財産もマイナスの財産)の全てを相続することをいいます。

例えば、相続人が残した財産のうちプラスの財産よりもマイナスの財産の割合が大きい場合には、プラスの財産から支払いきれなかった負債を相続人が支払うことになります。

プラスの財産が多ければ問題はありませんがマイナスの財産の割合が大きければ単純承認は避けなければなりません。

限定承認とは

限定承認とはプラスの財産からマイナスの財産を引いて、プラスの財産が残っていれば、その財産を相続することをいいます。

もし、マイナスの財産の方が多ければ、相続しないということになります。

プラスの財産とマイナスの財産どちらが多いか正確に判断できない場合や相続財産の中に相続したい財産がある場合などに用いられます。

相続放棄とは

相続財産の全てを引き継がないことをいいます。

たとえ、プラスの財産の方が多くても引き継げる財産の一切を放棄する方法です。

明らかにマイナスの財産の方が大きい場合には相続の放棄を選択します。

選択には期限がある(熟慮期間)

単純承認、限定承認、相続放棄、どれを選べば良いのか?悩んでしまいあっという間に被相続人がなくなったことを知ってから4ヶ月が過ぎてしまったとします。

この場合、限定承認と相続放棄を選択することができなくなります。

民法915条(相続について記載されている法律)では「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純もしくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」と記載されています。

続いて、民法921条には「次に掲げる場合には、相続人は、単純承認した者とみなす」と記載されています。この次に掲げる場合とは「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」です。

3ヶ月を過ぎてしまえば、単純承認した者とみなされてしまいます。

なので原則、自分が相続人だと知ったときから3ヶ月以内に相続の方法を決定しなければなりません。