エンディングノート

最近よく耳にする「終活」という言葉、皆さん終活について、考えたことはありますか?

終活とは、人生の終わりのために行う準備のことで人生をより良く過ごすため、「死」というものに向き合い、自分の考えを整理して、その考えに従い準備していきます。

その一環で「エンディングノート」を準備することが一般的となっており、エンディングノートに自分の考えを書き記し、今自分にとって何が必要なのかを整理していきます。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、ご自身が亡くなったときに家族に対して「伝えたいこと」、「自分が望むこと」、「お墓や葬儀のこと」、「財産のこと」など今後、色々な手続きを行う家族が困らないために用意しておくものです。

エンディングノートでできること

エインディングノートでできることとできないことがあるのは知っていますか?

エインディングノートは自分の死後、生前には恥ずかしくて言えなかった御礼の言葉や自分が望むこと、手続きを行う家族が困らないために用意します。

家族に伝えたいこと

具体的には、自分の死後にお世話になった家族に対してお礼のメッセージを書き記しておいたり、お世話になった友人などにメッセージを残したりと自分の死後に伝えたいことを書き記したりします。

家族に望むこと

望むこととは、例えば、病気や事故で自分で物事の判断ができなくなったとき、誰に面倒を見てもらいたいかを伝えたり、病気の治療の方法や処置の程度(延命治療の有無)など自分が望むことを書き記します。

お墓や葬儀のこと

お墓や葬儀のこととは、お墓の種類の希望や寺院や霊園の指定、永代供養の有無、葬儀であれば、葬儀の規模や費用の希望、家族葬にするのか、家族以外の人を呼ぶのか、家族以外の人を呼ぶのであれば、どの程度の範囲で呼ぶのか、それらの人の名前や連絡先等を書き記します。

他にも、仏壇の希望や年忌法要の希望など書き記しておきます。

財産のこと

財産のことととは、自分の所有している財産の種類や額などを書き記します。

弊所では仕事柄、亡くなられた方の相続の手続きを担当することが多く、多くの相続人の方は亡くなられた方の財産をあまり把握していません。

何が言いたいのかというと、相続人が財産の把握をしていないと、まず、財産の調査から始めなければなりません。

そうすると、相続手続きに多くの時間がかかってしまい、それだけ相続人の負担になってしまいます。

相続人の負担を考えれば、エンディングノートに自分の資産を書き記しておけば、相続人の負担が減り、手続きの時間も少なくて済みます。

また、書き記す財産の種類は預貯金、定期、国債、株等の資産を書き記します。

預貯金、定期等であれば、銀行名・口座番号をできるだけ詳細に書き記します。

国債や株などであれば証券会社名や額面、保有株の情報な等できるだけ詳細に書き記します。

デジタル遺産について

他にも今問題になっているのが「デジタル遺産」と呼ばれるものです。

ネット社会が当たり前の現在、ネット銀行やネット証券を利用している人は多いです。

亡くなった方がネット銀行やネット証券を所有していれば、それらも解約しなければなりません。

その存在を知らなければ、相当の期間気付かないこともあるでしょう。そうなると、やっと相続の手続きが終わったのに、また、戸籍や印鑑証明などの書類を集めなければならないこともあります。

他にも、パソコンやスマートフォン、SNSのアカウント、クラウド上のデータ、趣味でブログやホームページを所有していれば、ドメインやサーバーの契約解除も必要になります。

その際に、IDやパスワードがわからなければ、パソコンやスマートフォンにログインできないことも考えられます。

パソコンやスマートフォンの中には、思い出の写真なども多くあると思います。

自分の死後、公開されているSNSやブログ、ホームページなど削除が必要なものがあるときは、ログインIDやパスワード等の情報も書き記しておくべきです。

これらの情報がわからない場合はパスワードの解除を業者に依頼することも考えられます。そうなると、費用も時間もかかってしまうので相続人への負担になってしまいます。

エインディングノートでできることとできないこと

エインディングノートでできることは、ご自身が亡くなったときに家族に対して「伝えたいこと」、「自分が望むこと」、「お墓や葬儀のこと」、「財産のこと」等、自分の思っていることや伝えたいこと、自分の希望や自分の情報などを書き記しておくことができます。

ただし、自分の希望を強制的に相続人に実行してもらう強制力はないので、例えば、自分が残した財産は全部妻に残したい・夫に残したいということを書き記してもエインディングノートでは実現することはできません。

財産に関して、自分の考えに強制力を持たせることができるのは「遺言書」になります。

エンディングノートでできることは今後の生活や亡くなったときに伝えたいことや希望することを家族に言い伝えることができる。

エンディングノートでできないことは自分の財産の分割方法や分割割合などを指定することです。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書を混同される方もいると思います。

しかし、エンディングノートと遺言書は全くの別物です。

わかりやすい点を挙げれば、エンディングノートに書き記した財産の分割についての内容には強制力はなく、遺言書に書き記す内容には強制力があります。(一定の事項について(制限有))

ですから、特定の人に財産を多く残したい場合などは、別途、遺言書を残す必要があります。

遺言書には、誰に、どのような財産をいくら残すのかを記載して、詳細な部分(銀行名、口座番号)については、エンディングノートに書き記しておくという方法もあります。

エンディングノートはあくまでも、自分の思いや考え、希望を整理して、家族に対してのメッセージを伝えておくものです。

自分のこれらの生活や死後のことを考えて、「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と考えがまとまらないときにエンディングノートを作成すれば、何が必要で何をしなければいけないのか、1つずつ解決する道しるべになってくれます。

エンディングノートに書き記した財産分与についての内容が絶対に実現したい内容であるときには、別途遺言書を用意して、誰にどんな財産を相続させたいのか?、祭祀継承者は誰が良いのか?、遺言の執行は誰に任せたいのか?等、自分の意志を残します。

エンディングノートは自分の思いや考え、希望を伝えるもの、遺言書は自分の思いや考え、希望を実現するものだと考えていただければと思います。

ただし、遺言書にも効力が発生する部分と効力が発生しない部分があります。

遺言書に関する内容はこちらで紹介しています。

エンディングノートを用意する必要はあるのか?

そもそも、エンディングノートを用意する必要があるのか?疑問を持つ方もいると思います。

極端なお話をすると、相続の手続きにおいては、エンディングノートを用意しなかった場合でも、手間や時間はかかりますが問題なく手続きは進んでいきます。

じゃあ、エンディングノートは用意しなくても良いんじゃないの?と思いますが、あるとないとでは相続人にかかる負担が違います。

例えば、エンディングノートが用意されていない場合、葬儀やお墓のなどを決めるときに相続人間で意見の食い違いも発生してしまうこともあります。

財産の把握でも、エンディングノートが用意されていない場合、通帳や保険証書など保管していそうな場所を片っ端から探さなければなりません。

ネット銀行やネット証券においては、長期間発見されない場合もあります。

なので、必須ではありませんが、エンディングノートを準備しておけば、相続人への負担を軽くできますし、改めて自分の考えを整理することもできます。

エンディングノートの選び方

メディアでもよく取り上げられるエンディングノートですが、2018年現在はエンディングノートの書籍が数多くあってどれを選べば良いのか迷ってしまうほどです。

その中から、1つを選ぶのは難しいですよね。

なので、ご自身がどういったことを重点的に考えているのか、それに合った書籍を選ぶのが良いかと思います。

初めから完璧なエンディングノートを作ろうを意気込まず、徐々に完成させることを目標に最初に作るエンディングノートは簡単なものから始めてみるのも良いかもしれません。

その中でもよく選ばれているのは「コクヨ エンディングノート もしもの時に役立つノート B5 LES-E101」です。

遺言書を残したいときは

エンディングノートを準備した方で、自分が亡くなった後、手続きの心配や家族同士の争いを避けることを考えて、財産の分け方や財産の相続割合を記載する方も多いです。

しかし、エンディングノートはあくまで自分の希望を伝える物であって、自分の希望通りにすることはできません。

自分の財産を自分の希望通り相続してもらうには、エンディングノートではなく、遺言書を用意しなければなりません。

遺言書と言っても、作成にあたって皆さん迷われるのが、自筆証書遺言書と公正証書遺言書です。

自筆証書遺言書は自らが手書きで書き記すタイプの遺言書で公正証書遺言書は公証役場にて作成するタイプの遺言書です。

自筆証書遺言書は自分で作成するので、費用はかかりません。

ただし、遺言書として取り扱われるためには、作成のルールがありそれを守って作らなければ、無効になってしまったり意味のないものになってしまうこともあります。

公正証書遺言書は公証役場にて作成する遺言書で予め公証人にどのような遺言書を作りたいのか伝えて、公証役場で公証人の元作成されるので、誤りもなく、無効になることもありません。

ただし、公証役場に行く手間や費用がかかってしまいます。

どちらの遺言書もメリット・デメリットがあり、一概にどちらの遺言書を作った方が良いと言い切れませんが、遺言書の目的は残された家族のためを思って作る物です。

そう考えると、誤りや無効になっては元も子もありません。

せっかく作る物であれば、しっかりとした物を作りたいと思っている方が多いはずです。

「誰かに相談したいけど内容が内容だけに・・・」と悩んでいる方、守秘義務のある弊所行政書士にお気軽にご連絡下さい。