個人事業主で建設業許可を取得している場合、必ず承継問題を考えなければなりません。
会社の場合は代表者が亡くなったとしても会社がなくなるわけではありませんし建設業許可もなくなるわけではありません。
しかし、個人事業の場合には、その事業主本人に建設業許可を与えているので、事業主が亡くなってしまうと建設業許可も失効してしまいます。
個人事業主として家族で建設業を営んでいる場合、許可を取得している事業主(父)が亡くなれば、息子は許可を承継することはできず新たに許可を取得することになります。
許可は承継できないけど・・・
息子が新たに許可を取得するといっても、要件の一つである「経営業務管理責任者」としての要件を満たすことが必要となります。
「経営業務管理責任者」の要件を満たすためには5年以上、「建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験」が必要となります。
「建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験」とは、個人では「事業主」または「支配人」というポジションにいる人です。
父のもとで雇われていた、息子は「建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験」には該当しないので、新たに許可を取得するには、個人事業主として5年以上の経験が必要となります。
では、絶対に個人事業主として5年以上の経験が必要なのか?と言われれば絶対ではありません。
父が亡くなるまでに「建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験」を積むことで個人事業主として開業後すぐにでも許可申請をすることもできます。
それを可能にするためには「支配人の登記」をする必要があります。
「許可の取得をスムーズに行えるように」予め事業を承継させたい人を「支配人」として、登記しておけば、「建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験」として認められるため、父が亡くなったあとでもすぐに許可申請を行うことができます。
許可番号の承継
事業主の許可を受け継ぐ事はできませんが、下記の要件を満たせば従前の許可番号を受け継ぐことはできます。
- 個人事業主を継ぐ者が経営業務管理責任者としての要件を満たしていること
- 個人事業主を継ぐ者が営業の債権債務を相続して事業を行うこと
- 個人事業主の許可(従前)の廃業届を提出すること
上記の要件を満たすことができれば、従前の許可番号を継承することができます。
もちろん、他の許可要件も満たす必要はあります。
- 経営業務管理責任者の設置
- 専任技術者の設置
- 請負契約に関し誠実性を有していること
- 財産的基礎あるいは金銭的信用を有していること
- 許可の拒否要件に該当しないこと