医療法人で診療所を運営していて、もう1店舗増やしたいと考えている場合、民間法人であれば折り合いさえあえばすぐにでも建築することが可能です。
しかし、医療法人は勝手に診療所を増やしたり減らしたりすることはできません。
必ず所轄庁に診療所の分院認可申請(定款変更認可申請)が必要になります。
分院認可申請について
分院の認可申請は設立認可申請と異なり常時受付しています。ただし認可に係る総会は月に1回の開催となっているのでタイミングによっては若干認可までの期間に誤差が出てします。
申請から認可が下りるまでは総会の日から約1ヵ月となりますので書類の事前準備を含めると3ヵ月から4ヵ月くらいの日数がかかります。
分院認可申請で必要となる要件
分院の認可申請で必要になる要件です。
- 土地および建物(賃貸でも可能)
- 医師または歯科医師1名(分院先の診療所の管理者)
- 事業計画書・予算書について適切であるかどうか
賃貸借の場合、土地・建物について法人の利用権限があるかを契約書で確認し所有している場合には土地・建物登記事項証明書で確認します。
新たに分院先の診療所・病院の管理者となる者は医師または歯科医師免許を保持している者でなければなりません。
また、運転資金等が適切かどうか事業計画書と予算明細書で確認します。
分院認可申請の提出書類
- 定款変更認可申請書
- 定款新旧対照表
- 定款変更理由書
- 現行定款及び新定款案
- 社員総会議事録
- 開設先の診療書の概要書
- 医師又は歯科医師免許証のコピー
- 土地・建物平面図(建物の図面は入口・待合室・診療室等確認できるもの)
- 土地建物賃貸借契約書(賃貸の場合)
- 土地建物登記事項証明書
- 定款変更後の2年間の事業計画
- 予算明細書
- 職員給与費内訳書
- 定款変更後の2年間の予算書
添付書類一覧を見るとそんなに難しくないんじゃないかと感じてしまいます。
実際、インターネットで検索をかければ社員総会議事録の雛型や書類の書き方なんかもでてきます。
しかし、問題が1点ありまして11.定款変更後の2年間の事業計画、12.予算明細書、14.定款変更後の2年間の予算書については作成が難しいです。
直近年度の決算を元として、新たに診療所を開業した際の売上、経費を計算して翌年度、翌々年度の事業計画や予算書を作成します。
金融機関の融資担当の経験があったり税理士事務所での勤務経験等がある人なら作成は可能ですがそのような経験がない人だと難しい作業です。
分院認可申請のポイント
必要書類等を揃えて申請した後の話を少ししたいかなと思います。
認可が下りた後はすぐに診療所をオープンしたいと考えますがまだ3点ほど手続きが必要になります。
- 法人の登記変更申請、定款変更行ったので新しい診療所の名称・場所などの登記を書き換える必要があります。
- 診療所のある所在地の保健所に診療所開設届出書を提出します。
- 厚生局へ保険医療機関指定申請を行い保険適用を受けられる準備をします。
この3つの手続きが終わらないと診療所のオープンはできません。
4月1日にオープンを考えているのであれば、3月上旬に保健所、厚生局にそれぞれ手続きをしないと許可が降りないことに注意が必要です。
逆算すると、2月中旬には認可が下りている状態で法人の変更登記の完了が2月下旬そのようなイメージになります。
分院認可申請のまとめ
分院の認可申請はクリアしなければならない要件は少ないですが、準備する書類が多いのが特徴です。
また、各所に書類を提出しなければならないので、日数管理が難しい手続きです。
詳細なスケジュールを決めておかなければ、オープン予定日までに間に合わなくなってしまう場合もあり、半年前くらいから準備すると余裕を持って手続きを進められます。