宗教法人とは、宗教法人法に規定される宗教団体が、法律上の能力を与えられることによって、法人格を得た団体のことを指します。
すべての宗教団体が法人格を取得できるわけではありません。
通常、法人格(株式会社等)を取得するには、定款作成後、法務局に設立の登記をすることによって法人格を得ることができます。
宗教法人は、規則や宗教団体であることを証明する書類を所轄庁に申請して、所轄庁から認証を得た上で法務局に設立の登記をすることで法人格を得ることができます。
簡単に言えば、役所のお墨付きをもらってからでないと、法人格を得ることができません。
所轄庁の認証を得るには
所轄庁の認証を得るには、宗教法人を設立する住所地を管轄する、所轄庁に規定されている要件や書類等を準備して認証の手続きを行います。
認証に手続きに必要な条件
認証手続きには、これらを備えた宗教団体であることが必要です。
- 礼拝施設の所有
- 教義、教典を行っていること
- 住職、牧師、教師等の指導者がいること
- 住職、牧師、教師等の指導者の後継者がいること
- 儀式、行事を行っていること
- 信者を教化育成していること
- 信者の総数が30名以上いること
これらを備えた宗教団体でかつ、次のものを揃えなければなりません。
認証手続きに必要な書類とその条件
上記に記載されているものを備えた宗教団体であれば、実際に宗教活動を行っていることが確認できますが、さらに、これらの書類を所轄庁に提出する必要があります。
認証手続きをするには、多くの書類を揃える必要があります。これらの書類をすべて揃えれば、所轄証への申請ができます。
ただし、申請には宗教活動期間も求められます。
必要書類を確認するとNO19・20・21は過去3年分の活動実績が確認できる写真などの添付も求めているので、活動期間が3年未満の宗教団体はこれらの要件をクリアすることができません。
宗教活動を行っていて、かつ、必要な書類も揃えることができるから、認証手続きも問題ないと思ってしまうかも知れませんが、活動期間も伴っていなければ、認証手続きはできません。
認証手続きにかかる時間
宗教法人の設立には多くの時間がかかります。
手続きの流れは、まず、所轄庁(役所)との打合せからはじめる必要があります。
役所との打合せの内容としては、申請する宗教団体が間違いなく、認証の基準を満たしているかを確認します。
認証の基準を満たしていなければ、いくら必要な書類を揃えても無駄になってしまいます。
打合せに必要な書類を揃えて、結果を受けるまで約2ヶ月程かかります。
無事、事前の打ち合わせをクリアすれば、申請に向けて書類を揃えていきます。
打合せ段階で揃える書類と申請で揃える書類は若干違う
打合せで揃える書類と申請で揃える書類には若干違いがあります。
同じものもいくつかありますが、ほとんどは新たに用意する書類なので、書類準備期間で1ヶ月程度時間かかかります。
包括団体の承認までの時間
ご自身の宗教団体が何かしらの「教派・宗派・教団」の傘下になっている場合は、それらの団体(包括団体)の承認が必要になります。
包括団体の承認は、団体ごとにかかる時間は異なりますが、約1ヶ月の時間がかかります。
公告の期間
宗教団体が宗教法人になるときには、一定期間の間、信者に対して宗教法人を設立することを知らせなければなりません。
知らせる方法として一般的なのは宗教団体の掲示場などへの掲示です。
公告の期間は短すぎても、宗教法人になることを確認できない人も出てきますので、10日~1ヶ月程度です。
宗教法人法の第12条(設立)3項には、「認証申請の少なくとも1ヶ月前には公告しなければならない」と規定されていますので、公告が終わったからといって、すぐに申請できる訳ではありません。
公告が終わって、1ヶ月後に申請できることとなります。
ですから、公告期間も併せれば、40日以上時間がかかることになります。
なお、公告については、公告日と公告終了日は日にち換算しませんので、10日間の公告の場合12日の公告が必要となります。
例:1日に掲示場に公告を貼った場合、2日から11日が公告日となり、12日が公告終了日となります。始めと終わりは換算されません。
所轄庁の認証期間
所轄庁への認証まで、「事前打ち合わせの書類準備」「事前打ち合わせの結果を受ける」「認証申請の書類を揃える」「包括団体への承認」「公告」にかかる期間は概ね6ヶ月程度となります。
それらを満たした上で、所轄庁に申請します。
所轄庁の処理期間はと言うと、宗教法人法14条(規則の認証)4項に「申請を受理した日から3ヶ月以内に、認証に関する決定をする」と決められていますので、3ヶ月程度の時間がかかります。
認証されるまでの期間
所轄庁への申請までに6ヶ月の時間がかかり、さらに結果が出るまで3ヶ月、合計で約9ヶ月間の時間がかかってしまいます。
書類の不備等もあればそれ以上の時間がかかる場合もあります。
宗教法人の設立をお考えの方は
宗教法人の設立には、厳しい基準や莫大な書類の用意、長期間の手続きが必要です。
あれもしなきゃ、これもしなきゃと急いでしまうと、後々変更が必要になったり、書類の不備もあったりとスムーズに手続きが進まないこともあるので、時間に余裕を持って手続きにあたることをおすすめします。