農地を貸す・売る・変更する際の農地の手続きについて

農地の手続きにはいくつかの種類があります。

例えば、「農地を所有している方が亡くなってその農地を相続するときの手続き」、「農業を営んでいる方が新たに農地を購入するときの手続き」、「住宅などの建物を建設するときに農地から宅地に変更するときの手続き」、「農地を駐車場などに変更するときの手続き」などがあります。

農地転用手続きと費用

手続きの専門用語になってしまい申し訳ないのですが、各種手続き名はこちらになります。

手続き名 内容 費用
農地法第3条届出  市街化区域内の農地を農地のまま第三者へ売却・賃対するときに必要な手続き 77,000円(農地の規模や農地の場所で費用が異なります。)
農地法第3条許可  市街化調整区域内の農地を農地のまま第三者へ売却・賃対するときに必要な手続き 77,000円(農地の規模や農地の場所で費用が異なります。)
農地法第4条届出   市街化区域内の自分の農地を農地以外のものへ変更するときに必要な手続き 77,000円(農地の場所で費用が異なります。)
農地法第4条許可  市街化調整区域内の自分の農地を農地以外のものへ変更するときに必要な手続き 110,000円(農地の規模や農地の場所で費用が異なります。)
農地法第5条届出  市街化区域内の農地を農地以外のものへ変更し、第三者へ売買・賃貸をするときに必要な手続き 77,000円(農地の場所で費用が異なります。)
農地法第5条許可   市街化調整区域内の農地を農地以外のものへ変更し、第三者へ売買・賃貸をするときに必要な手続き 110,000円(農地の規模や農地の場所で費用が異なります。)
農振除外申請  農地を変更するにあたって予定地が農用地区域に該当する場合に必要となる手続き 応相談
非農地証明 登記簿謄本上は農地(田・畑)となっているが、実際の現地は田・畑として使われてない場合に行える手続き 55,000円(農地の場所で費用が異なります。)

農地とは

農地とは「耕作」の目的に使用される土地のことをいい、耕作とは田畑を耕し穀物や野菜を栽培することをさします。

国はこの「農地」を所有している所有者に対して「農地を勝手に売買したり賃貸することを禁止」する法律を定めます。

これが「農地法」と呼ばれる法律です。

なんで、「自分の農地を勝手に処分できないの!」と文句を言いたくなるのもわかりますがこれには理由があります。

農地を勝手に売買したり賃貸されてしまうと穀物や野菜を栽培する土地(農地)が縮小して国内で収穫できる食料が減少して食料の安定供給ができなくなります。

そうなると、国内での食糧確保ができず、ほとんどの物を外国からの輸入に頼ってしまうことになります。

万が一、外国から食料を輸入できなくなってしまえば、国民の生活が成り立たなくなってしまいます。

このため、農地を売買・賃貸するには役所(都道府県知事又は指定市町村の長の許可)許可を必要とすることを定めたのです。

農地転用とは

農地を農地以外のもの、「住宅用宅地、農業用施設、資材置場」へ変更することを農地転用といいます。

農地転用を行うには役所(都道府県知事又は指定市町村の長の許可)の許可が必要になります。

厳しい罰則

農地以外のものに変更しなくたって、勝手に「住宅用宅地、農業用施設、資材置場」として使えば良いんじゃないのと思ってしまう人もいますが、許可を受けずに転用行為を行った場合や、ルールどおりに転用しなかった場合は、農地法に違反することとなり、工事の中止や元の状態に戻すなどの命令等がなされる場合があります。

また、3年以下の懲役や300万円以下の罰金という罰則の適用もあります(法人は1億円以下の罰金)

農地転用ができる場所とできない場所

原則、農地を農地以外のものに使用する場合、「農地転用」手続きが必要になります。

農地転用はすべての農地でできるのかというとそうではなく、原則転用できない農地もあります。

農地の種類

農地転用 土地

農地の種類 農地の内容 許可となるための基準
農用地区域内農地 国が定めた農業振興地域に指定される農用地区域内にある農地。
生産性の高い農地で農業上の利用を確保すべき土地として指定されているため原則として農地転用ができない農地です。
原則不許可。

例外的に許可することもできる。ただし、農振除外と呼ばれる手続きが必要になります。

甲種農地 市街化調整区域内にある10ヘクタール以上の集団農地で、高性能農業機械の導入などで効率的な農業経営が可能な農地、農業公共投資(土地改良事業など)対象の農地で、事業完了後8年を経過しない農地です。 原則不許可。

・農業用施設、農産物加工、販売施設
・土地収用認定施設
・都市と農村の交流に資する施設
・集落接続の住宅等
・地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に基づく施設等

これらに該当する場合には例外的に許可ができる。

第1種農地 10ヘクタール以上の集団農地、農業公共投資(土地改良事業など)対象の農地、生産性の高い農地。 原則不許可。

・農業用施設、農産物加工、販売施設
・土地収用認定施設
・都市と農村の交流に資する施設
・集落接続の住宅等
・地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に基づく施設等

これらに該当する場合には例外的に許可ができる。

第2種農地 農業公共投資の対象となっていない小集団の生産力の低い農地、市街地として発展する可能性のある農地 周辺の他の土地に立地することが困難な場合等に許可
第3種農地 都市的整備がされた区域内の農地、市街地にある農地 原則許可

農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地では原則不許可となっています。

ただし、一定の条件を満たす場合には例外的に許可となることもあります。

市街化調整区域と市街化区域

市街化調整区域と市街化区域は農地転用を行うときに重要になるポイントです。

市街化調整区域とは都市計画法によって定められた区域で「市街化を抑制すべき区域」になります。市街化調整区域に指定された区域では新築住宅の建設や既存の住宅の増改築などが規制されます。

市街化区域とは都市計画法によって定められた区域で「すでに市街化を形成している区域およびおおむね 10年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域」になります。

このように市街化を抑制する地域とすでに市街化されている区域に区分されていて、転用を行う場合、市街化調整区域内の農地は許可申請、市街化区域では届出となっていて市街化区域内での転用は比較的易しいものとなっていて転用が認められやすいです。

農地手続きを行うにあたって

自分で所有している農地を第三者に売る場合や農地を農地以外のものにする場合には農業委員会に申請・届出をしなくてはなりません。

申請や届出にあたっては本当にその農地を賃貸することができるのか?売却することができるのか?または転用することができるのか役所に問い合わせをして、直接農業委員会に出向いて打ち合わせも必要になります。

それから役所に提出する書類を集めることも必要です。

地域によっては農地手続きの審査が行われる日が限定されている場合もあるので、事前準備をしっかりしていなければ許可が大幅にずれ込むこともあります。

弊所では農地の手続きについて、ご依頼者様から直接お話を聞き、それをもとに農業委員会と打ち合わせを行いスムーズに農地の手続きを行います。

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