一般貨物自動車運送事業を行っている会社を吸収して合併を行なう場合、すでに受けている許可はどうなるのか?合併後に存続する会社は新たに許可を取得するのか?など吸収合併にはどのような手続きが必要になるのか解説いたします。
合併認可の申請が必要
まず、吸収合併は複数の法人が1つに統合される形となり、吸収される法人は解散となり合併後存続する法人は解散する法人の財産・権利義務の一切を承継します。
合併によって解散となる法人を被合併法人と呼び、合併後も存続する法人を合併法人と言います。
合併法人が一般貨物自動車運送事業を行なうには「合併認可申請」を行い、認可を受ける必要があります。
ただし、合併法人がすでに一般貨物自動車運送事業の許可を取得していれば、認可を受ける必要はなく代わりに「合併の認可を要しない旨の証明書」を受ける必要があります。
合併認可の手続き
もし、合併法人が認可の手続きを受けずに、法人の合併登記を進めてしまうと被合併法人が受けていた許可は合併法人には引き継げず、合併法人は運送事業を行なうことができなくなってしまいます。
では、どのように合併認可を進めていくのかですが。
- 運輸支局に合併認可申請を行なう
- 認可が下りる
- 認可証を添付して法務局にて合併の登記申請を行なう
- 合併完了後運輸支局にて合併完了届出を提出
- 事業再開
ざっくりこのような流れになります。
ポイントは法人の合併登記申請を行なう前に認可を受ける必要があるという点です。
一般貨物自動車運送事業の合併認可申請は難易度が高い
一般貨物自動車運送事業の合併認可申請を担当させていただいた感想は難易度が高いと感じました。
新規申請の際には、資産要件はおおむね人員6名・車両5台・その他経費合わせて6ヵ月間事業運営できる資産を用意できれば良いのですが、合併認可申請の際には、引き継ぐ人員・車両が多くなっているため6ヵ月間事業運営するための資産要件のハードルが高くなってしまいます。
簡単に言うと新規申請の際には、2,000万円かかかる資産要件が合併認可申請の際だと2倍から2.5倍ほどかかることになってきます。
一般貨物自動車運送事業の合併認可申請のまとめ
一般貨物自動車運送事業の合併認可申請は法人の解散手続き、登記申請が必要なことから他士業との連携が必要になります。
また、認可申請には時間もかかるので、いつの時点まで運送事業を始めたいのか?認可の際の資産要件を満たすことができるのか?
また、要件を満たす人員(運管・整管)は足りているのか?役員法令試験を合格できる取締役はいるのか?など様々なことを確認しなければなりません。
合併認可申請を行なうには、事前の準備が大事になってくるので余裕を持ったスケジュールで進めることをお勧めします。