通所介護(デイサービス)とは、介護事業に携わっている方はご存じのように、施設において入浴、食事等の介護その他の日常生活のサポートや機能訓練を行う施設を言います。
施設にて、利用者様にこれらのサービスを行うためには「指定申請」を受ける必要があります。
指定申請を受けるには
通所介護(デイサービス)指定申請を受けるには、いくつかの要件を満たす必要があります。
- 法人格の取得
- 人員基準
- 施設・設備基準
- 運営基準
要件ごとに細かい基準はありますが、大まかにこれらの要件を満たす必要があります。
デイサービスの施設の運営と聞くと、「大きな土地や建物が必要」と考えている方もいます。
ですが、中古の住宅を施設に適したものにリフォームしたり、賃貸物件でも要件に適合すれば、通所介護の指定申請を受けることができます。
話を戻しますが、指定を受けるには、必ず「法人格」でなければなりません。
法人格とは「株式会社」や「合同会社」俗に言う会社と呼ばれる組織でなければ指定を受ける事はできません。ですから個人事業主などの個人では申請することはできません。
通所介護(デイサービス)の指定を受けるには、「法人」であることが条件となっています。
「法人」とは、法律により権利能力を認められたものを指し、もっとも一般的なものでは「株式会社」です。
他にも、合同会社、NPO法人等も指定を受けるための法人格の要件を満たしています。
1.法人格の取得と法人の事業目的
指定を受けるには、「法人であること」が前提ですが、
もう一つ重要なのは、法人の事業目的です。
「事業目的」に「通所介護事業」の目的が記載されていなければ、指定を受けることができません。
すでに法人をお持ちの方でこれから通所介護事業を始められる方は、事業目的に通所介護事業が記載されてなければなりません。記載がなければ、事業目的に通所介護事業の追加が必要となります。
法人の設立にあたって
個人の方で新規の法人を設立して、通所介護事業を始めたいとお考えの方は、このような流れで指定申請を受けることとなります。
法人設立・・・約1ヶ月
↓
指定申請の準備・・・約3ヶ月(法人設立と同時進行できる部分もあります。また、事業所などの改装が含まれる場合にはさらに期間が必要となります。)
↓
指定申請・・・開設日予定日の2ヶ月前の末日まで(4月1日から事業をスタートしたい場合、2月末日まで。さらに2月15日まで申請先の担当部署との協議が終了している必要があります。)
↓
指定の受理・・・申請後・・・約1ヶ月後
このように、申請をして、指定を受けるまでには、長い準備期間が必要となります。
新規で法人を設立して、施設をオープンする場合には、
最低でも、6ヶ月前から準備を始めなければ、スムーズに手続きを進めることが難しくなってしまいます。
通所介護(デイサービス)指定申請を受けるにあたって、一番重要となってくるのは「施設・設備要件」です。
なぜ、重要かというと、施設利用者の人数によって、
確保する面積が決まっています。(食堂および機能訓練室)
利用者1人あたり3㎡の面積を確保する必要があるため、
10人定員の施設では、食堂および機能訓練室の面積は30㎡以上必要となります。
面積要件を検討せず、話を進めてしまい、
申請段階で面積の確保が難しくなってしまうと、はじめから計画を練り直さなければならなくなってしまい、最悪の場合、リフォーム等も必要になることもあります。
このように施設、設備の要件を入念に確認・協議する必要があります。
その他にも「静養室」「相談室」「事務室」等の用意も必要となりますので少なくても部屋の数は3~4つが必要です。
2.施設・設備要件のまとめ
設備名 | 設置場所 | 確保する面積および備品 | 備考 |
食堂および機能訓練室 | 1階 | 利用者1人あたり3㎡ | 固定されている家具(食器棚、冷蔵庫)などの面積を除くスペース |
静養室 | 1階 | 1部屋(300㎝×300㎝) | 布団やベッドをおいて静養できるスペース |
相談室 | 原則1階(申請先の市町村によって異なります) | 1部屋 | (会話内容が外に漏れないような作り) 居宅介護支援(ケアマネ)を行う場合にはさらに1部屋相談室の用意が必要となります。また、ケアマネの相談者とデイサービスの利用者が顔を合わせないように、別途、玄関や通路の確保が必要となる場合もあります。 |
事務室 | 1階および2階 | 特に定めなし | 事務所の運営に必要な備品を確保すること |
その他にも、施設の総面積が100㎡以上の場合、
建物の用途が「児童福祉施設等」でなければ、建物の用途を「児童福祉施設等」に変更しなければなりません。
3.人員要件のまとめ
指定を受けるためには、施設に「管理者」「生活相談員」「介護職員または看護職員」「機能訓練指導員」を配置しなければなりません。
それぞれ1人が担当につかなければならないというわけではないので、5人の人員が必要なわけではありません。
兼務も可能なので、単純に指定を受けるに際しての最少人員は3人となります。
ただし、最少人数の3人では万一、職員に何かあったときに対応できなくなってしまうため、最少人数での指定申請はおすすめできません。
利用者の方に対してもきめ細やかなサービスの提供も難しくなってしまいます。
人員 | 必要資格 | 備考 |
管理者 | なし | 他の職種との兼務可能 |
生活相談員 | 社会福祉主事任用資格、社会福祉士、実務者研修終了者、介護職員基礎研修終了者、介護福祉士など。また、自治体によっては一定の実務経験があることを条件に認めている場合もあります。 | 管理者のみ兼務可能 |
介護職員 | なし | |
看護職員 | 看護師、准看護師の資格を有している者 | 機能訓練指導員との兼務可能 |
機能訓練指導員 | 理学療法士、作業療法士、看護師、准看護師等の資格を有している者 | 看護職員との兼務可能 |