初めから専門用語の連発ですが、建設業許可の要件「経営業務管理責任者」と「専任技術者」はどのような役割の人を言うのか?どんなことに気をつける必要があるのか?
経営業務管理責任者の常勤性
経営業務管理責任者は字のとおり「会社の建設業務を総括する立場の人」をいい、取引によって生じる対外的な責任を負います。
経営業務管理責任者は「常勤の役員」でなければいけないので、非常勤の役員では認められません。
常勤・非常勤、聞き慣れない言葉だと思います。
建設業で言う常勤の役員とは「会社の営業日において、ある一定時間内事務所にいる役員」、非常勤の役員は「いつ出社してくるか決まっていない、または会社が出社要請した場合にだけ出社してくる役員」と考えます。
なぜ、常勤の役員が必要なの?非常勤じゃダメなの?と疑問に思ってしまいますが・・・
万が一、「工事中に事故が起きた」「現在行っている工事の工期が短縮された」「取引会社が破産した」等経営に関する不測の事態にも対応しなければなりません。
事務所にいない非常勤の役員では、このような事態に対応することはできず、会社にとって取引先にとってもリスクを生じさせてしまいます。
なので、経営業務管理責任者には「常勤性」が求められています。
経営業務管理責任者の常勤性の証明
この役員は「常勤」です。
といっても、証拠は?となってしまいます。
常勤性を証明するには「健康保険証のコピー」「住民票」等で証明します。
健康保険証には事業所名が入っているので、「確かにこの役員はこの会社で働いているな!」と確認できますし住民票を見れば、どこに住んでいるのかも確認できます。
営業所からあまりにも離れているところの住所であれば、どうやって会社まで通うの?となってしまい常勤性を疑われてしまいます。
例えば、旭川であれば2時間以内の場所、「滝川や砂川、士別や名寄」辺りに住んでいても常勤性は認められますが、これが函館から旭川へ通っている、札幌から旭川まで通っている、函館から旭川まで通っていると言えば絶対に常勤性は認められません。
社会保険に加入していない会社であれば、「住民票」「保険証のコピー」「決算書で役員報酬の確認」が取れれば常勤性が認められます。
75歳以上の方だと健康保険の加入はないので、「後期高齢者医療被保険者証」「決算書で役員報酬の確認」「住民票」で確認します。
専任技術者の役割
専任技術者とは建設工事に関する技術的な責任者で工事に関する見積りや請負契約の締結などを行う人です。
専任技術者も経営業務管理責任者と同様に「常勤の従業員や役員から選ぶ必要があります」
専任技術者は現場にでられない
専任技術者は事務所での「常勤性」が求められるため、原則、工事現場での作業は認められません。
専任技術者の常勤性の証明
経営業務管理責任者と同じく、常勤性を証明するには「健康保険証のコピー」「住民票」等で証明します。
社会保険に加入していない会社の場合、「住民票」「賃金台帳」等で確認します。
職務の兼務について
経営業務管理者と専任技術者は常勤性を求められますが、小規模の会社様だと経営業務管理者と専任技術者、両方を兼務したい。と考える人もいます。
そもそも職務の兼務は可能なのか?制限があるのかご紹介します。
経営業務管理者と専任技術者には兼任禁止項目があり、「他の会社等で経営業務管理責任者や専任技術者、宅地建物取引主任者等、専任性を要するとされる者」と兼ねることはできません。ただし、同一企業で同一の営業所である場合は、兼ねることができます。
例えば、複数の会社の取締役をしている場合、「A会社で経営業務管理責任者として設置されているのを知らずに、B会社の経営業務管理責任者として設置するような場合」です。
この場合には、B会社の経営業務管理責任者になることはできません。
これは専任技術者にも言えることです。
安易に「名義貸し」をできないように厳しく取り締まっているので、虚偽の申請をしてしまうと罰金や今後の許可にも影響してしまうので注意しなければなりません。
経営業務管理責任者と専任技術者の兼任
すでに経営業務管理責任者と専任技術者として設置している人は他の会社の経営業務管理責任者と専任技術者にはなれないけど、自社の場合はどうなの?
同一の営業所に限られますが経営業務管理責任者として設置されている人を専任技術者としても設置したい場合は兼任が認められます。
実際に社長が経営業務管理責任者と専任技術者を兼任している会社も多いです。