古物を扱う事業者にとって無視できないのが古物営業法です。なぜ古物営業法の話をするのかというと、平成30年4月25日に古物営業法の改正法が公布され、平成30年10月24日に一部が施行されました。
どのような部分が変更されたのか?古物を取り扱う事業者は何を気をつければ良いのか?古物の改正法についてご紹介します。
法改正1・許可単位の見直し
古物を売買する場合、事業者は営業所がある都道府県ごとに許可を受ける必要がありました。ですが、改正後は主たる営業所(メインの営業所)を管轄する公安委員会で許可を取得すれば、他の都道府県で営業所を設ける場合でも、許可は不要で届出で足りることになりました。
例えば、現行の法律だと北海道で許可を取得しても北海道内であれば何処に営業所を持っていても北海道の許可で営業はできます。しかし、東京にも営業所を出す場合、東京都でも許可を取得することが必要でした。
改正後は主たる営業所を管轄する公安委員会で許可を取得すれば、他の都道府県で営業所を設けても許可は不要で主たる営業所を管轄する公安委員会に届出をすればよくなりました。
令和元年11月19日現在は改正前です。
法改正2・営業制限の見直し
改正前は古物を買い取る場合には営業所または取引相手方の住所以外の場所では古物を受け取ることができませんでした。改正された今は事前に公安委員会に日時・場所の届出をすれば、仮設店舗において古物の買い取りが可能になりました。
今までであれば、フリーマーケットで出店していても販売はできるけど買い取りまではできませんでした。今後、フリーマーケットなどの仮設店舗でも古物の買い受けができるようになったのでフリーマーケットに出店する業者さんもお客さんにとっても良いことです。
法改正3・簡易取消しの新設
この改正部分は直接古物営業者には関係ないことで、どちらかというと行政の手続きを簡略化する内容です。
改正前は古物営業者の許可を取り消すには行政側が古物商(古物営業者)が3ヶ月以上所在不明を証明して意見を聴取する必要がありました。
改正後の現在(令和元年11月19日)では古物商の所在を確認できない場合、公安委員会が公告を行い、30日を経過しても申出がない場合には許可を取り消すことが可能になりました。
公告については官報(かんぽう)という、国が発行している新聞みたいなものでネットから見ることができます。インターネット版官報
法改正4・欠格事由の追加
古物商の許可を取得するには、会社であれば役員(監査役も含む)、個人であれば申請者は古物営業法で定められた欠格事由に該当してしまうと許可を得ることができません。
改正後はこの欠格事由に新たに「集団的に又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安員会規則で定めるものを行う恐れがあると認めるに足りる相当な理由があるもの」を追加しました。
簡単に言うと会社の役員または古物の申請者が暴力団等に該当してしまうと許可を受けることができません。
それに加えて1・2も欠格要件に追加されました。
- 窃盗の罪で罰金刑に処せられ刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの
他にもある変更点
他にも、帳簿の様式において、自動車を取引した場合の記載内容について、車検証記載のナンバー、車名、車台番号、所有者の氏名等の記載が求められるようになりました。
他の物品についても下書式のように記載のルールに準じて記載することが求められます。
もう一つ、古物を買い取る際の非対面取引の本人確認方法に新たな確認方法が追加されました。
法改正の背景
まず、なぜ古物営業法が改正されたのかですが、背景としてはフリマアプリなどの普及によって個人・法人ともに許可業者が増加したこと、それと、これは推測なのですが古物の許可業者が増加したことにより行政庁の管理が複雑化したことが挙げられます。
古物商許可は比較的簡単に取得できるもので、一度許可を取得すれば更新などの手続きは不要です。営業を継続している間は営業所などの住所の変更等があれば手続きが必要になります。もし、お店を営業しなくなったときは古物の許可証を返納する手続きが必要になります。
ただ、実際のところ古物の営業をやめた事業者が古物の許可証を返納する届出をしているのかと言えば何とも言えないところです。
法改正の背景には、そういう、許可を持っているが営業などを行っていない事業者の許可を失効させる目的もあります。
法改正の詳しい内容は有識者会議禄を見ることができるので気になった方はこちらで確認下さい。古物営業の在り方に関する有識者会議 報告書