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家族のどなたかが亡くなり、「生前に遺言書を残しているから安心して」と聞いていて、いざ遺言書の内容を確認してみると、「え!・・・この遺言は納得いかない」という内容が書かれていることも少なくありません。

遺言書の内容に異議があるときはどのように理解し対応しなければならないのかご紹介します。

遺言書のとおりに遺産分割しなければならないのか?

遺言書は亡くなられた方が残した最後のメッセージです。

そこには、自分の望みや家族への感謝が書かれています。

その内容が相続人みんなに平等であれば問題はありません。

しかし、複数の相続人がいる場合、一方は優遇されていて、もう一方は冷遇されていることも珍しくなく、その内容について、相続人同士で争いに発展してしまうこともあります。

そんなとき、遺言書のとおりに遺産分割しなければいけないのか?という問題点が出てきます。

法律ではどうなっているのか?

法律では、「遺言書のとおりに遺産を分割しなければならない」という規定はありません。ですから遺言書のとおりに遺産分割しなくても良いと言うことになります。

だとすれば、遺言の内容に反対している相続人がその遺言を認めない限り、遺産分割はされず一向に手続きは進まないことも考えられます。

そうなっては、この制度自体意味のないものになってしまうため、相続人全員の承諾があれば、遺言書とは異なる内容で遺産分割を行うこともできます。(※民法908条に規定されている、「遺産分割禁止」の条項が遺言書に含まれている場合は、一定期間遺産分割ができない場合もあります。)

承諾があれば遺言書とは異なる内容で遺産を分けることもできますが、遺言書は亡くなられた方の最後のメッセージです。

その遺言は、遺言者が家族のことを考えて書き記したものです。

その内容に不服があった場合でも、可能な限り遺言者の意志を尊重することが大事だと思います。

ただし、自らの遺留分が侵害されている場合には、適正な対処が必要な場合もあります。

相続のルール

相続には、決められたルールがあります。

そのルールは「民法」と呼ばれる法律に書かれています。

細かいルールを挙げれば、ここに書ききれない量にもなりますし特に重要な部分を紹介します。

  1. 相続人
  2. 法定相続分
  3. 遺留分

相続人は亡くなられた方の財産を受け継ぐ人のことをいいます。

誰でも相続人になれるかと言えば、それは間違いです。

例えば、婚姻関係にない男女の一方が亡くなった場合、事実上の夫婦だとしても、婚姻届を出していない以上、民法上の配偶者としては認められず、相続人となることはできません。

民法上の配偶者となるには、民法739条に規定されている「婚姻の届出」をすることが求められます。

他にも、家族以外の者が何十年と亡くなられた人の面倒を見ていたからと言って、相続人になることはできません。

相続人となる人は民法で決められています。

①配偶者(民法890条)

②子供(民法887条)

③父・母(民法889条)

④兄弟姉妹(889条)

このように決められたルールがあるので、「すごく親しいから」、「長年面倒を見ていたから」といった理由では相続人にはなれません。

相続人になる人の決まりはわかったけど、法定相続分ってなに?

法定相続分とは

法定相続分は各相続人が受け取ることができる財産の割合です。

亡くなられた人が残した財産を相続人で分配する場合、相続人の地位で割合が決められています。

例えば、地位に関係なく相続人それぞれが平等の割合で財産を受け継ぐことになれば、亡くなられた方の家族である、配偶者や子供は不平等です。

なので、配偶者や子供であれば2分の1ずつを受け継げる、など細かいルールが定められています。

詳細については「相続の疑問」に記載しています。

遺留分について

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遺留分と言う言葉を一度は聞いたことがあると思います。

遺留分とは相続人のために法律上確保された財産の割合のことをいい、簡単に言えば、亡くなられた方が残した財産の中で必ず相続人が受け取ることができる財産です。

遺言書で「すべての財産は妻に相続させる」と記載されているとします。

この遺言自体は、自分がいなくなった後、妻に苦労をさせたくないと考えて残しているのだと考えられますが、他に子供などの相続人がいれば、子供の遺留分を侵害しています。

遺留分は相続人の誰もが確保できるわけではなく、遺留分を確保できるのは、配偶者、子供(孫含む)、親(直系尊属)で兄弟姉妹は遺留分はありません。

遺留分の割合は、相続人で一律ではなく、法定相続分の半分が遺留分となります。

遺留分でひとつ注意しなければいけないのは、遺留分があるからと言って、遺留分の財産が勝手に自分の所に来るわけではありません。

「自分は遺留分があるからその分はもらいます」と相手に対して主張しなければなりません。

遺言書に異議があるときのまとめ

遺言書に異議がある場合の対処法や対応を見ていただきましたが、異議がある人は実際は、まず遺言書の内容を確認します。

遺言書の内容を確認して、自分に対して不利な遺言になっていないか、なっていても許容範囲の場合はそのまま相続手続きを完了させます。

自分に対して不利な遺言で異議がある場合は相続人全員で協議が可能なら遺言書の内容とは異なる遺産の分け方を協議することができます。

相続人全員で協議ができないときは家庭裁判所で遺産分割協議の調停等を利用する方法や弁護士事務所を利用する方法があります。

遺言書で明らかに自分の遺留分が侵害されているときは、侵害している相手に対して「遺留分はもらいます」と主張することができます。

遺言書の内容に異議がある場合、対処法や対応は様々です。

まずは気持ちを落ち着かせて、遺言書の内容を理解して、遺言者はどのような気持ちでこの遺言を残したのかを理解することが大事です。

遺言書には、財産の分け方以外にも「付言」という、相続人へ対しての感謝の気持ちや希望が書かれた項目があります。

じっくりと遺言書を見返してもなお、納得がいかない場合に初めて異議を唱えるそのような考えで、相続の手続きを進めることが良いかと思います。