エンディングノート

相続の手続きを行うときには、亡くなった方のすべての遺産を調べる必要があります。普通なら引き出しや金庫などを調べて不動産の権利書や預金通帳などを見つけますが、それでは少し不十分です。

相続の手続き中や手続きを終えてから新しい遺産を見つけることもあります。そのような場合には手続きが複雑になったり手間が多くなってしまうので、事前に遺産の調査を行って手続きをスムーズに進めることをおすすめします。

相続財産の確認方法

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亡くなった人の所有していた財産は原則「相続人」が引き継ぐことになります。(遺言書があれば相続人以外の人に対しても財産を相続させることができます。)

相続が発生するとまず、「財産の確認」と「相続人の確定」という作業が必要になります。

財産の確認はなぜ必要なのか?

なぜ、財産の確認が必要なのか?

それは、「相続人は亡くなった人の財産を引き継ぐ」からです。

財産を引き継ぐなら、確認なんて必要ないでしょ!と思ってしまいますが、財産と言っても「プラスの財産」と「マイナスの財産」があるのでプラスの財産よりマイナスの財産(借金や債務)の方が多ければ、最悪の場合、相続人はその借金も相続してしまいます。

なので、財産の確認をしっかり行い、財産の合計がマイナス(負債の方が多いとき)の場合は相続の放棄も選択肢に入れなければなりません。

財産を確認するには

財産の中でも大きな割合を占めているのは「不動産」「預貯金」です。

不動産であれば「権利書」「登記識別情報通知書」「固定資産税納税通知書」などで所有している不動産を確認することができます。

通常この3つの書類があれば所有している不動産を確認することができます。

ただし、不動産等を運用している方や自宅の他に複数の不動産を所有している方はこの3つ以外の方法でも確認することをお勧めします。

不動産の確認方法

不動産の確認方法は「権利書」「登記識別情報通知書」「固定資産税納税通知書」で行いますがこの他にも「名寄帳(課税台帳)」と呼ばれる、「その人が所有している不動産の一覧」がわかる書類があります。

名寄帳を取得すれば「固定資産がかかっていない農地や山林、原野」も調べることができます。

名寄帳の取得方法

所有している不動産を確認できる「名寄帳(課税台帳)」は以下の場所で閲覧、写しの請求をすることができます。

  • 総合庁舎2階税務部税制課諸税係

住所:070-8525 旭川市6条通9丁目(総合庁舎)

  • 各支所の窓口(神居支所・江丹別支所・永山支所・東旭川支所・神楽支所・西神楽支所・東鷹栖支所)

名寄帳(課税台帳)で確認できる項目

名寄帳で確認できる不動産の項目はこちらです。

  • 物件の所在
  • 地番又は家屋番号
  • 地積又は床面積
  • 評価額
  • 課税標準額
  • 年税額

名寄帳(課税台帳)の交付請求書と委任状

名寄帳を取得するには窓口で交付請求書を提出します。

相続人であれば委任状がなくても亡くなった方との関係を証明できる戸籍謄本と身分証明(免許証、健康保健証、パスポート等)を用意していけば請求することができます。

交付請求には手数料300円がかかります。

納税証明交付請求書ページ

預貯金の確認方法

預貯金の確認方法といっても「名寄帳」のような所有している銀行口座の一覧を照会できるようなものはないので、亡くなられた方の保管している銀行通帳から確認します。

銀行通帳であれば生前から預貯金の引き出しや預入を子供に任せたりしている人も多いので確認は比較的簡単ではないでしょうか。

ただし、定期預金や定額貯金など頻繁にお金の出し入れをしない口座の通帳はなくしてしまう人も多いです。

実際に通帳はありませんでしたが、照会をかけると数百万円の定期が見つかった事例もあります。

なので、手元にある通帳以外にも預貯金がある可能性も考える必要があります。

預貯金を見つけるには

把握できない預貯金を見つけるには、「金融機関」で預貯金の調査を行う必要があります。

全ての金融機関で調査を行うとなると時間と手間がかかってしまうので、基本的にはお住まいの近くの金融機関に絞って調査を行います。

例えば、いつも決まった場所で買い物をしている人は通り道にある金融機関を使っていたり、趣味や習い事をしている人はその場所の近くの金融機関を使っていたりします。

預貯金の調査を行うには

亡くなられた方の預貯金の調査を行うには、調査を行う本人(相続人)と亡くなられた方の関係を証明する戸籍謄本が必要になります。

相続人以外の人が調査を行うには、相続人からの「委任状」が必要になります。

ゆうちょ銀行の相続手続きは他の金融機関と少し違う

ゆうちょ銀行の通帳

亡くなられた方がゆうちょ銀行の口座を持っていれば、ゆうちょ銀行での口座の解約手続きが必要になります。

ゆうちょ銀行を利用している人は多いので参考にされて下さい。

ゆうちょ銀行の相続手続きは他の金融機関と比べて多少の違いがあります。

どのような違いかというと

  • 手続きはお近くのゆうちょ銀行、郵便局の預金窓口で行うが手続きの処理は貯金事務センターが行う
  • 払い戻しは「ゆうちょ銀行の口座」または「払戻証書」

ゆうちょ銀行の相続手続きは「お近くのゆうちょ銀行または郵便局の預金窓口」で行いますが、手続きの処理は別の場所の「貯金事務センター」が行うので、口座の解約に必要な書類を全て揃えて手続きに行ってもその場で解約をすることはできません。

預貯金の払い戻しは、「相続人名義のゆうちょ銀行の口座」または「払戻証書」によって払い戻されます。

払戻証書の場合、貯金事務センターから「払戻証書」が送付されて、その証書を窓口へ持って行けば、その場で現金で払い戻されます。

ゆうちょ銀行の相続手続きの流れ

ゆうちょ銀行の相続手続きの流れはこのようになります。

  1. ゆうちょ銀行、郵便局の預金窓口で預貯金の相続手続きの申し出
  2. 相続確認表の記入(1で受け取る)
  3. 相続確認表の提出(後日、窓口へ提出)
  4. 貯金事務センターから必要書類の案内(3の提出から1週間~2週間)
  5. 必要書類を用意する(戸籍謄本・印鑑証明書・相続請求書(ゆうちょ所定のもの)など)
  6. 必要書類を窓口へ提出(戸籍謄本・印鑑証明書・相続請求書)
  7. 払戻(6から約1ヶ月程度、足りない書類などがあれば貯金事務センターから連絡が来ます。)

大まかな流れになりますが手続きの期間は約2ヶ月程です。

他の金融機関であれば、全ての書類が揃っていればその場で手続きが進みますが、ゆうちょ銀行は一度、貯金事務センターを経由してからの処理になるので時間がかかってしまいます。

必ず必要な相続書類(戸籍謄本など)の原本還付

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相続手続きを行うには必ず「戸籍謄本」や「相続人の印鑑証明書」等が必要になります。

この戸籍謄本や相続人の印鑑証明書は「金融機関の相続手続き」「不動産の相続手続き(名義変更)」「自動車の相続手続き」すべてに必要になってくるものです。

手続きのときには必ず「原本」が必要になるので、1つ目の手続きで原本を提出してしまうと次の手続きをするときにも原本を用意しなければならないので、手間も時間もかかってしまいます。

戸籍謄本や印鑑証明書等の原本還付請求をすること

原本還付請求とは、「一度原本を提出しますが、返却して下さい」と請求することです。

金融機関の手続きや不動産の手続きの際に「原本還付をお願いします」と伝えることで、金融機関側はその場で戸籍謄本や相続人の印鑑証明書等をコピーして、原本を返還してくれます。

原本還付することで相続手続きを行う金融機関が複数あってもその都度、原本を用意しなくてもよくなります。

不動産の相続手続き(原本還付)

不動産の相続手続きでも書類の「原本還付請求」をすることができます。

ただし、行政書士は登記書類の作成はできませんので、不動産の手続きは提携先の「司法書士の先生」に委託しております。

自動車の相続手続き(原本還付)

自動車の相続手続きでは戸籍謄本や相続人の印鑑証明書等の「原本還付請求」はできません。自動車手続きでは全ての書類が原本提出になるので、金融機関・不動産手続き用に1通ずつ、自動車用に1通ずつ用意することをおすすめします。